3rd『ホントの時間』の歌詞の意味を解釈 -カップリングでハッピーオーラ全開-

日向坂46
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日向坂3rd カップリング楽曲『ホントの時間』の音源が初公開!

9月11日放送の「レコメン!」にて、日向坂46の3rdシングル『こんなに好きになっちゃっていいの?』のカップリング曲として全Typeに収録される『ホントの時間』の音源が初公開となりました!

佐々木久美さん、富田鈴花さんの口笛に始まるイントロは、絵のように美しい草原、雲の一つ二つ浮かぶ空を思わせるような雰囲気。背中から抜けて行く風を感じるようなエモさでした。

日向坂46 『ホントの時間』Short Ver.

1番 Aメロ・Bメロ

偶然 ばったり
ショッピングモールで会って
立ち話をした
夕暮れの手前で

お互いに好きな
アニメで盛り上がり
DVDを 貸し合う
約束をしただけで

もういつのまにか
街灯り 点(つ)き始めて
頭上の空 ふと見上げる
星がパラパラって輝いた
そろそろ家(うち)に帰らなきゃ
なんて急に言い出して
腕時計をちらり見たら
さっきから一時間経ってた

日向坂46 『ホントの時間』

1番のAメロ・Bメロに描かれるのは、語り手と「君」(サビで明示)のエピソード。

偶然ショッピングモールで会った「君」とアニメの話題で盛り上がり、DVDを貸し借りする約束を交わします。話し始めた時は「夕暮れの手前」だったのに、その間に、街明かりが点き始め、星が見え始めます。

「偶然ばったりショッピングモールで会って立ち話をした夕暮れの手前で」の部分の文法解釈には、(1)倒置法、(2)「夕暮れの手前」への単純な修飾、の2通りが考えられます。
(1)の倒置法では、正置の”夕暮れの手前で立ち話をした”の倒置と考え、すなわち、「立ち話をした」が述語となります。
一方(2)では、「夕暮れの手前」という舞台への修飾節としてそれ以前が機能し、述語は以降の「約束をした」などにあると考えられます。
2つの違いは述語の場所、言い換えると、次のAメロ後半へと文が繋がるか否かとも言えるでしょう。
また(2)の方が「夕暮れの手前」をより空間的に捉え、物語の背景としての機能性が高くなっています。

(1)の文解釈では、立ち話の内容=アニメの話という解釈が可能です。これは後の「だけで」という話の少なさの表現とよく合います。また、2文が分かれていることですっきりとした構造になります。
(2)の解釈を採用する場合、立ち話がある程度あって、その中でアニメの話が出てきたという解釈になります。しかし、決して「だけで」という表現に合わないという訳ではなく、これは語り手の主観を含んだ表現であるし、有意義な話はアニメの話だけだったとか、覚えているのはアニメの話だけだったとか、別角度の「だけ」のニュアンスで捉えることができます。

要は好みの問題です。が、イメージは変わります。

すっかり場面は暗くなり、「君」はそろそろ帰らなきゃと「急に」告げました。第三者から見れば全く急にではありませんから、この「急に」の言葉から語り手が会話にいかに夢中になっていたかがわかります。

腕時計を見ると、もう1時間も経っていました。

1番 サビ

ホントの時間はどれだけ進んでたのか?
時計なんか信用しない
君と過ごす時だけ時空が歪むよ
あっという間に過ぎる
だって現国(げんこく)の授業中は
ゆっくりと針が進むし
もったいぶったように
早くなったり遅くなったりいい加減

日向坂46 『ホントの時間』

1時間も過ぎたよと示す時計。あまりに主観的時間と違ったためか、語り手は「ホントの時間」はどれぐらい進んだのかと疑問に思います。”時計が示す時間”と「ホントの時間」が違うだろうと言うのです。そう言いたくなるほどに「君」と過ごす時間は「あっという間に過ぎる」のですね。

この曲には3つの時間が登場します。それは「ホントの時間」、”時計が示す時間”、”主観的時間”。
実際は”時計が示す時間”が「ホントの時間」と同じで、”主観的時間”が「ホントの時間」と乖離しています。それをこの曲の語り手は”主観的時間”の方が「ホントの時間」に近いはずという仮定で”時計が示す時間”が間違っているというのです。

“主観的時間”と「ホントの時間」が少しずれているくらいなら、正しいと思っている時計で体内時計をリセットできますが、あまりにもずれると、時計を疑いたくなるということです。

ある時には速くなり、ある時には遅くなる。「ホントの時間」もそんな風に、流れる速さがあるのかもしれません。

2番 Aメロ・Bメロ

オオオ…

フェイバリットアニソン
一緒に口ずさみ
話はまだまだ
尽きなかったけれど

もうショウウィンドウの照明も消え始めて
駐車場から車が出る
残ったのは僕たちだけ
続きはまた いつかねって
いつもならば帰るのに
ねえ明日も会えない?って
なぜだろう 一秒で聞いてた

日向坂46 『ホントの時間』

1番とは別の日のことでしょう。
2人でやってきた場所は明示されませんが、「ショウウィンドウ」「駐車場」のモチーフは、舞台として1番で登場したショッピングモールを示唆しつつ、時間の経過を映像から示しています。
1番でも時間経過を示す情景描写が見られました。単に時間が経ったと歌わずに、聴き手に情景をイメージさせながらその中の情報として伝えています。

2番では、1番で登場した話題を膨らませていっているのが特徴的です。アニメを展開させてアニソンを歌う話。ショッピングモールを展開させてショウウィンドウ、駐車場のモチーフ。場面に唐突さがないので自然に聴くことができます。

また、「一秒で聞いてた」の表現。時間を主題としている歌で、具体的な時間の長さを持ち出しています。”すぐに”や”思わず”の表現よりもキャッチーな表現になっています。1番の「一時間」との対比の効果も狙われています。

「聞いてた」も自然な表現ですが、尋ねる行動を完了させた語り手の視点から、初めてその行動を振り返らせることにより、尋ねた時点での語り手の中の客観性がなさ、”思わず”聞いていた、というイメージが効果的に表現されています。
“なぜだろう一秒で聞いた”、ではまるで違うでしょう。

2番 サビ

ホントの時間のスピードとはどれくらい?
今日の日付が変わるまで
君を想う気持ちが急がせるけれど
止まったように見える
だって真っ暗な空の色が
白むにはかかりそうだし
一日のその中で
一番遅い進み方だと思うんだ

日向坂46 『ホントの時間』

2番のサビで歌われているのは”時間の遅さ”。1番のサビとは逆です。

語り手が「一番遅い進み方」と表現しているのは、1日の終わり、日付が変わり明日になるまでの時間です。早く明日にならないかなという気持ちは時間の進むのを急かしますが、時計の針は随分とゆっくり進みます。その様子は語り手の目にはもはや「止まったように見え」るようです。

明日を待ち遠しく思う気持ちは、「君を思う気持ち」と表現されています。2番のBメロで「明日も会えない?」と聞いた語り手と「君」は結局、また明日も2人で会うことになったのでしょう。語り手にとって今日が終わるまでの時間は明日「君」に会うための長いものになっています。

2番のBメロの明日と、サビの明日を結びつける記述はこの先には登場しません。しかし、2番のサビを結びつけずに考えるとかなり内容が唐突になり、他につながる場所もないため、2番のBメロの日の夜を2番のサビの時点と解釈してよいでしょう。

Cメロ・落ちサビ・大サビ

ねえ誰がネジを巻いて調節しているの?
一応の目安になる時間はあるだろう
チクタクって きっとリズム刻んでる
ねえだけど当てにならないような針たちを
どうにかまとめ世界中を統一してる
あれ これ どれもみな勝手に動き 早さ一定してない

日向坂46 『ホントの時間』

Cメロでは時計のネジを巻いている誰かが登場します。Cメロには世界の標準となっている時計、そして普通の時計の2種類の時計が登場します。ここでは彼が調節しているのは普通の時計たちであると考えます。
彼は「チクタクってきっとリズム刻んでる」と思われる「一応の目安になる時間」に合わせて世界の他の時計を調節しているのです。

ここで、「チクタク」という表現は時間と言いつつ時計の針を表しており、世界の標準となる時間を”中心となる時計”のメタファーで表していると言えます。
これまでは「時計なんか信用しない」というような、実際の時間と時計を別物と捉えるような表現がありました。しかし、ここでは、「一応の目安になる時間」に時計性を見ています。

話を戻しましょう。語り手は”調節をする人”がきちんと仕事をしていないから、時間の流れを普通の時計がきちんと示せないと思うようです。これは「誰が」の”が”の効果で、”調節をする人”の存在は前提とした上で、それが誰かと所在を尋ねることで責任を問うています。
そして「一応の目安になる時間はあるだろう」で基準となる時間があるはずだから、それと他の時計を合わせることは原理的にできるはずだという思いを歌っているのです。

ちなみに、”ねえ誰か”だとすると、”調節をする人”の存在は前提とされません。そして、それが誰かではなく、存在するかしないかに主眼が置かれた表現になるため、彼の責任を問う表現とは解釈しにくくなります。

彼は完璧な仕事をしているとは言い難いですが、それでも世界の時計を「どうにかまとめ」ています。それをしかしその針たちは皆勝手に動き、さもホントの時間を示しているかのようにしていますが、速さは一定していません。
「どうにかまとめ世界中を統一してる」の主語は”調節をする人”とも、「一応の目安になる時間」とも取れます。

ホントの時間のスピードとはどれくらい?
今日の日付が変わるまで
君を想う気持ちが急がせるけれど
止まったように見える

ホントの時間はどれだけ進んでたのか?
時計なんか信用しない
君と過ごす時だけ時空が歪むよ
あっという間に過ぎる
だって現国(げんこく)の授業中は
ゆっくりと針が進むし
もったいぶったように
早くなったり遅くなったりいい加減

オオオ…

日向坂46 『ホントの時間』

「ホントの時間」と「一応の目安になる時間」の関係

Cメロではわざわざ世界の基準となる時計について、「一応の」・「目安」などの曖昧さをイメージされる言葉で形容しています。この言葉によって、基準となる時間もまた「ホントの時間」とは異なるというイメージを持っています。

多く見られる冗長な表現・不正確な表現

この楽曲の歌詞には、狙われたものなのか、意図されていないものなのか、変な語句が多く含まれています。

例えば、1番のBメロの「頭上の空」という表現は「頭上の」は不要な表現です。
また、2番サビの「今日の日付が変わる」という表現も単に”日付が変わる”で良く、”今日の日付A”から”今日の日付B”に変わることなら「今日の日付が変わる」と言えるでしょうが、”今日の日付A”から”明日の日付B”に変わることをそう表現することには違和感があります。
また、Cメロで「ねえ誰がネジを巻いて調節しているの?」とありますが、本来時計のネジを巻くことは回転をゼンマイに溜めているだけで、時間を合わせたり、スピードを変えたりしているわけではありません。


190913 公開
191003 歌詞の表記を修正・動画リンクを変更・本文の引用箇所を修正

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