24th四期生楽曲『図書室の君へ』の歌詞の意味を解釈 -微笑ましい恋のおはなし-

乃木坂46
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24th四期生楽曲『図書室の君へ』のセンターは掛橋沙耶香さん!

3人の四期生が選抜・福神入りを果たした24thシングルにもカップリングで四期生楽曲が収録されます。そのフル音源・MVは8月22日に公式チャンネルから公開されました。センターはさぁちゃんこと掛橋沙耶香さん。
楽曲は明るいテンポ感の中にポエトリーリーディングが冒頭、Bメロなど随所に取り入れられ、印象的になっています。また、Bメロの部分転調を含んだ盛り上げもここだけ少しねっとりとした印象になっていて面白いポイントになっています。

乃木坂46 『図書室の君へ』Short Ver.

イントロ

「君を好きになって初めてわかった。
好きになるっていうのは、
その人のことをもっと知りたいと思う気持ちのことだ。
だから、僕は君のことをもっと知りたいと思った」

乃木坂46 『図書室の君へ』

掛橋沙耶香さんによるセリフで曲が始まります。このように詩を朗読するように音楽と合わせることをポエトリーリーディングと言い、セリフ調の言葉を用いるよりもさらにエネルギーを持った語り手の言葉としての表現が、また独特の耳触りを生み出します。
欅坂46『世界には愛しかない』、欅坂46『黒い羊』などでも特徴的に用いられています。

1番 Aメロ・Bメロ -図書室の中 微笑ましい光景-

図書室の本棚の向こう側
そう何か探してる君がいる
偶然のふりをして覗こうか
いやここから 隙間の君を見ていようか

「放課後になって まだ、校舎に残っている生徒は
誰かに話しかけたくて待っているのかもしれない」

窓際のカーテンが風に揺れ膨らみ始めた

乃木坂46 『図書室の君へ』

語り手の目線から「君」の姿が描かれます。

図書室の中。図書室という表現は、図書館よりも小さくこじんまりした”物語の箱庭”をイメージさせます。語り手から見て「君」は本棚の向こう側にいます。そこで「君」は何かの本を探しているようです。

次の行。語り手は「君」に何かアクションをかけてみようか、それともそっと見ていようかを考えます。ここの表現を聞くと、さらに語り手と「君」の位置関係がはっきりと聴き手にわかります。語り手と「君」は1つの本棚を挟んで反対にいるようです。それは骨組みだけで本がないところから向こうが見えるタイプの本棚。その本のない隙間から、語り手は「君」のことを見ています。

語り手は「君」に”気づいて”みようと思います。「覗こうか」と言っても、「見ていようか」との対照になっていることから、陰から覗くことではなくお互い気づくように顔を見せることをイメージしていると考えられます。
自分で顔を出したと思われるのは照れ臭いから、こっちも気づいていなかったふりをして。それともそれすらやめて、ただ眺めていようか、、、

Bメロではまたポエトリーリーディングが印象的に用いられます。自分の他にも放課後に学校に残っている人が大勢いる。もしかしたら語り手のような人もいるかもしれません。
私は、ポエトリーリーディングの効果とその内容により、一段階俯瞰の視点になった語り手のイメージを持ちました。言い換えると、語り手の言葉でありながら同時にナレーション的な雰囲気を持っているということです。

続くサビへのブリッジの部分は情景描写になっています。「君」のことを見ていた語り手は、ふとカーテンの動きに気づきます。
語り手の注意が一旦「君」から離れたことが示されつつ、「君」しか目に入っていなかったちょっとした時間の存在が念押しされます。
ここは5音の上行とそれに合わせた部分転調が特徴的なブリッジになっています。Ⅴ♯→Ⅴ(→Ⅰ)の進行は日向坂46『キュン』のBメロの部分でも使われています。

1番 サビ -「君」に合わせて本を読むようになった語り手-

ヘミングウェイなんて読んだこともなかった
活字嫌いの僕なのに
なぜかここに座っている
いつだったか君が手にしていたのを見て
どんなことが書いてあるか気になって
ページめくり始めた

乃木坂46 『図書室の君へ』

「君」が読んでいたあの本はどんな本なんだろう?語り手は気になってヘミングウェイを手に取ります。本当は本なんか読まない語り手なのに。

読書家の「君」と一緒に図書室にいる理由を作りたいから、「君」と話す話題が欲しいから、「君」が何を好きなのか知りたいから、色々な理由があるけれど、語り手はただ「君」が読んでいるものがどんなものか気になったようです。(ほんとかな?)

好きになった人の好きなものって、やっぱり気になりますよね。少しの打算を含みつつ。

2番 Aメロ・Bメロ -図書室で”2人の”時間を楽しむ語り手-

図書室の別々のテーブルで
僕たちはただじっと本を読む
チラチラと横顔を盗み見て
君が何を考えてるか知りたかった

「いつの間にか 陽は沈んでしまった。
それでも本を読んでいる君のために
僕は図書室の灯りを点けてあげた」

過ぎて行く時間さえ気づかない夢中さっていい

乃木坂46 『図書室の君へ』

本を読まなかった語り手は、「君」のきっかけで本を読むようになりました。近づきすぎないように別のテーブルから、チラチラと「君」のことを見ています。
「君」にとっては自分一人で放課後に読書をしている、それだけのことかもしれない。しかし語り手は「別々の」「僕たち」の表現からわかるように、なんとなく二人の意識を持っています。語り手の過剰な意識というよりは、図書室にはあまり人がいないのかもしれません。

読書家の「君」は日が沈んだのに、本に目を落としています。語り手は「君」のために図書室の明かりをつけてあげました。「過ぎていく時間さえ気づかない夢中さ」は、「君」の読書への態度を表現した言葉です。

2番 サビ -ヘミングウェイを読んでわかったこと-

ヘミングウェイ読んでほんの少しわかった
君と僕の性格は
そう全く違うってこと
教室ではきっと気づかなかっただろう
でもどうして君のことをこんなにも
好きになってしまったか?

乃木坂46 『図書室の君へ』

2番のサビに入ると、内容は1番のサビと対応しています。ヘミングウェイを読んで語り手は「君と僕の性格はそう全く違うってこと」を「ほんの少しわかった」と表現しています。
“全く違うこと”を”少しわかる”というのは変な表現ですが、これにより、少しわかっただけで全く違うことがわかるほどに違う、という印象や、語り手はこれからも全く違うことを感じることを予測している、という予想が聴き手にもたらされます。

ヘミングウェイの内容が少しだけわかったのかと思ったらすぐ裏切られる、という構造も歌詞として面白いところですね。(解釈にはまるで関係しませんが。)いや、わからんかったんかーい!って感じで。

ヘミングウェイの内容について語り手がどの程度理解したかについては、もしよく理解したなら語り手と「君」の性格について似ているのか違うのか、”はっきり”わかることが予想されるため、語り手はほとんど理解しなかったことと考えられます。
語り手にとって難解な本を夢中になって読んでいる「君」の性格は全然違うんだろう、ということがちょっとわかったのです。

教室での「君」を見ているだけではわからなかったこと、ヘミングウェイを読んで気づきました。
こんなに性格の違う「君」にどうして恋をしてしまったのか、もっと気になり出している語り手がいます。

大サビ

「君をもっと知りたい」

ヘミングウェイなんて読んだこともなかった
活字嫌いの僕なのに
なぜかここに座っている
いつだったか君が手にしていたのを見て
どんなことが書いてあるか気になって
ページめくり始めた

乃木坂46 『図書室の君へ』

Cメロはなく、「君をもっと知りたい」というセリフが入っています。大サビは1番のサビと同じです。

ここまで見てきた語り手の恋。「君」が好きになって、「君」が読んでいる本が気になって。本を読んで見たら、もっと「君」のことが気になり出した。イントロのことばで語り手が言ったことそのままです。
最後まで曲を聴き終わって、もう一度イントロに戻ってみると、最初のことばがこの曲の主題になっていたことが確認できますね

そのほか

ヘミングウェイについてちょっと紹介

ヘミングウェイはノーベル文学賞も受賞した1920~1950年のアメリカの小説家・詩人で、『老人と海』、『がために鐘は鳴る』などの著作で知られます。
乃木坂46の楽曲では『バレッタ』でも歌詞に登場しています。

換喩についてもちょっと紹介

ちなみにこの楽曲では「ヘミングウェイ」という言葉により、彼の作品を指しています。このような表現を換喩(メトニミー)と呼びます(ヘミングウェイという上位の概念で、彼の作品という下位の概念を表している)。実はこの換喩による表現は日常生活の中にも無自覚に多く存在しています。

例えば他の乃木坂46の楽曲だと、『ロマンスのスタート』の「交差点赤で追いついても」で信号ではなく交差点という表現をしています。


190825 公開
190905 歌詞の表記を修正・動画リンクを変更

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